日本国内において「ティル・ナ・ノーグ」という固有名詞が広く普及した契機として、1990年にシステムソフト(現・システムソフト・ベータ)が発売したPC-9801向け名作ロールプレイングゲーム『ティル・ナ・ノーグ 〜ダーナの末裔〜』の存在を外すことはできません。
当時のゲーム業界において、本作は極めて前衛的かつ革新的な評価を獲得しました。最大の特徴は「シナリオジェネレータ」と呼ばれる自動生成システムです。プレイヤーが任意の数字(シナリオコード)を入力することで、毎回異なるマップ、ダンジョン配置、登場人物、クエスト構造が無限に生成される仕組みを採用していました。
ケルト神話を徹底的にリサーチして構築された重厚な世界観、妖精や英雄たちの冷徹な関係性、そして生半可な攻略を許さない高難易度のゲームバランスは、多くのパソコンゲーマーを熱狂させました。現在に至るまでローグライクやプロシージャル生成(自動生成技術)の先駆的傑作として語り継がれています。
さらに現代のカルチャーシーンにおいても、ティル・ナ・ノーグは多彩な形で息づいています。『Fate/Grand Order』に登場するケルト系サーヴァント(スカサハ、クーフーリン、フィン・マックール等)の背景設定や、『ファイナルファンタジー』『グランブルーファンタジー』といったメガヒット作品における秘境や武器の元ネタとして、そのネーミングと神話体系は不可欠な基盤となっています。