世界三大料理として国際的に知られているのは、「フランス料理」「中華料理」「トルコ料理」の3つである。国一覧を眺めた際、アジア、西欧、そして東西の結節点である中東・ユーラシアの3地域からバランスよく選出されていることが分かる。
そもそも「誰が決めたのか」という点については、国連やユネスコなどの公的機関が一堂に会して投票で決めたわけではない。発端は19世紀後半のヨーロッパにある。当時、美食倶楽部を主導した美食家や百科事典の編纂者たちが、自国のフランス料理、東洋の雄である中華料理、そしてヨーロッパを長年脅かし食文化でも多大な影響を与えたオスマントルコの料理を「卓越した三大体系」として位置づけた。これが明治・大正期に日本へ伝わり、教科書や料理学校のテキストを通じて広く定着した経緯を持つ。
世界三大料理の定義には、共通する3つの明確な評価基準が存在する。
第一に、強大な権力と富を背景とした宮廷料理の高度な発展があること。第二に、広大な領土から集まる多様な食材と調理技法の体系化がなされていること。そして第三に、自国にとどまらず他国の食文化へ決定的な影響を与えた拡散力を持っていることである。この厳格な条件を満たしたのが、まさにこの3カ国だった。