メガホンを取ったのは、数々の名作ドラマや映画を手がけてきた名匠・土井裕泰監督。沖縄の強い日差しと潮風の中で行われたロケーション撮影では、妥協を許さないこだわりのエピソードが数多く残されている。台風の接近によるスケジュールの過密化や、天候変化に伴う光の調整など、現場は常に緊張感に満ちていた。
映画『涙そうそう』の知られざる裏話として有名なのが、主演の妻夫木聡が見せた徹底的な役作りだ。彼は沖縄の居酒屋で実際に働き、現地の人々と交流を深めることで、沖縄の風土に溶け込む素朴な青年・洋太郎の空気感を全身に纏い上げた。撮影が始まる頃には、現地スタッフですら彼を本物の沖縄の若者と見紛うほどだったという。