本作を語る上で最大の論点となるのが、原作コミック全12巻の結末と、劇場版アニメ(前章・後章)で描かれたラストシーンの差異です。デデデデの結末ネタバレに踏み込むと、両者は「破滅の受け止め方」と「二人の未来」において明確に異なるアプローチを取っています。
原作漫画における最終章では、東京が壊滅的な破滅を迎えた後、物語は別の並行世界(パラレルワールド)へと移行します。そこは「母艦が飛来しなかった世界」、あるいは「大惨事を回避した別の可能性の世界」であり、小山門出と中川凰華(おんたん)は、記憶の残滓を抱えながらも平凡な日常を歩み直すという、静かでビターな余韻を残す幕引きでした。浅野いにお自身がインタビューで語った「物語をただの悲劇や都合の良い奇跡で終わらせない」という意志が、極めて構造的に表現されています。
一方、劇場版後章のクライマックスでは、アニメーションとしてのカタルシスと一本の映像作品としての終止符を打つべく、映画オリジナルの構成が採られました。原作者・浅野いにお自らがストーリー構成案を提示し、映画制作陣と綿密なディスカッションを重ねて構築された結末は、二人が選んだ「この世界で生き抜く覚悟」をよりストレートに前面へと押し出したものとなっています。