主演を務めた中山美穂の静けさの中に渦巻く母性愛と、堂本剛が醸し出す儚くも危うい空気感。この二人の化学反応こそが作品の生命線であったことは言うまでもない。だが、関係者の証言によって新たに浮かび上がったのは、企画段階において検討されていた「もう一つのキャスト陣」の存在だ。
当初のキャスティング案では、物語の毒性と狂気をより際立たせるため、劇団出身の異彩を放つ実力派俳優や、当時はまだ無名だった新進気鋭の若手が主要な脇役としてリストアップされていた。最終的に決定したキャスト陣による繊細なアンサンブルが結実した形となったが、幻の未公開キャスト案の存在は、制作陣がいかに人間の暗部と光を極限まで突き詰めようとしていたかを物語っている。