事件発生直後、公金を取り戻す術は皆無に見えた。振り込まれた4億6300万円は、瞬く間に複数の口座を経由して暗号資産や賭博へと変換されていたからだ。しかし、町の代理人弁護士が採った戦術は極めて迅速かつ苛烈だった。
鍵となったのは、海外のオンラインカジノサイトそのものを追うのではなく、日本国内と海外資金の中継地点に位置する「決済代行業」を標的にした点だ。代理人は法的手続きを通じて代行業者の国内口座を差押え、保全措置を連発。違法賭博に関与した資金として金融機関や代業者に強烈なリーガルプレッシャーをかけた。法的リスクの拡散を恐れた代行業者が和解に応じ、口座から直接資金が阿武町へと返還されるという、異例中の異例とも言える回収劇が結実したのである。