洗練されたショップやギャラリーが並ぶ表参道スパイラルの5階。エレベーターの扉が開くと、そこには外界の賑わいとは遮断された別世界が待っている。「櫻井焙茶研究所」という名が示す通り、ここは茶葉の選定から煎じる工程、そして焙煎に至るまでを実験的に追求する場所だ。近年の日本茶・飲食業界において、茶葉のポテンシャルを極限まで引き出すこのアプローチは大きな旋風を巻き起こしてきた。
木製の美しいカウンターに腰を下ろすと、ほのかな香ばしい煙が鼻腔をくくすぐる。店内に漂う香りは、季節ごとに厳選された茶葉をその場で炒る音とともに空間を満たしていく。従来の焙煎緑茶・和カフェという枠組みを軽々と超えたこのプレゼンテーションは、茶という日常的な飲み物を、芸術の領域へと引き上げている。