彼の演技力が唐突に花開いたわけではない。歴史を振り返れば、その予兆は数年前から確実に刻まれていた。話題を呼んだドラマ『俺の家の話』で見せた、繊細でありながら芯のある少年の表現。あの時すでに、名優たちと正面から対峙しても決して揺らぐことのない独特の「居方(いかた)」が確立されていた。
さらに映画『リボルバー・リリー』などの大作・話題作への出演を経て、彼の芝居は大きな転換期を迎える。大物俳優や第一線のクリエイターたちに囲まれる緊張感あふれる現場で、彼は単なる子役・タレント枠に留まらず、作品のトーンを左右するキーマンとしての役割を着実に果たしていった。現場で吸収したプロの熱量は、彼の中で静かに可燃性のマグマとなり、現在の飛躍へとつながっている。