1990年代後半、日本のテレビ史に金字塔を打ち立てたフジテレビの代表作『踊る大捜査線』。本作で神田署長役を演じたことが、彼の知名度を全国区へと一気に押し上げた。湾岸署の幹部トリオ、いわゆる「スリーアミーゴス」の一角として、小野武彦演じる袴田課長らとの絶妙な掛け合いは、シリアスな刑事ドラマの中に極上のユーモアをもたらした。
主演の織田裕二演じる青島刑事との対立や妙な連帯感を含め、神田署長というキャラクターは組織の滑稽さと人間味を象徴する存在だった。現場でのアドリブを交えたテンポの良いセリフ回しは、過密な撮影スケジュールの中でも常にスタジオを笑いと熱気で包み込んでいたという。本人が後年振り返るように、役職の「偉さ」と行動の「小ささ」のギャップを徹底して計算し尽くした演技こそが、あの唯一無二のキャラクターを生み出した根源であった。