富川悠太のキャスターキャリアを語る上で欠かせないのが、前任者である古舘伊知郎の存在だ。圧倒的な語彙力と鋭い視点で『報道ステーション』の土台を築き上げた古舘の後任としてメインの座に就いた時、周囲からの期待とプレッシャーは想像を絶するものだった。
古舘時代の熱量と説得力を継承しつつ、自らのカラーである「現場主義」をいかに打ち出すか。富川はスタジオを飛び出し、各地の被災地や重要テーマの現地取材を愚直に重ねた。だが、民放キー局の帯番組を背負う重責と、コンプライアンスや過密スケジュールが交錯する中で、自身が理想とする取材やディープな対話の時間を作ることの難しさにも直面していくことになる。