銭湯ファンであれば誰もが知る名物、それが約46度に設定された極上の熱湯だ。現代の一般的な温浴施設では40度から42度程度が適温とされるなか、この強烈な温度は初めて訪れた者を思わず怯ませる。しかし、足先からじっくりと湯に浸かり、意を決して肩まで沈めると、ピリピリとした刺激のあとに全身の血流が爆発的に巡り始めるのを感じる。
湯船の背後に聳え立つのは、富士山の溶岩を組み上げて造られた重厚な岩風呂だ。ゴツゴツとした岩肌を水滴が伝い落ち、浴室全体に独特の重量感を与えている。温冷交互浴を楽しむ若者の姿も目立つ。熱湯で火照った身体を洗い場で冷水で引き締め、再び湯船へ戻る。このシンプルな反復が、長時間のデスクワークやスマホのブルーライトで麻痺した神経を容赦なく覚醒させる。「ここに来ると、頭の雑音が消えて完全にリセットされる」。毎週通うという30代のIT企業社員はそう語った。