取引先へのメールを作成する際、「漢字が多いほうが堅牢で改まった文章に見える」という思い込みから、すべての「ください」を「下さい」と変換してしまうケースは後を絶ちません。しかし、受け取り手によっては「命令口調のように感じられる」「日本語の表記ルールを正しく理解していない」と受け取られることがあります。
なぜ漢字の「下さい」が失礼にあたる可能性があるのか。その理由は、「下」という漢字が持つ本来のニュアンスにあります。漢字の「下」には「上位の者が下位の者に物を与える」「下賜する」といった上下関係を強く意識させる意味合いが含まれており、相手に動作を依頼する文章で多用すると、無意識のうちに高圧的なトーンが伝わってしまうからです。
相手に対する敬意を込めて打ったはずの漢字変換が、かえって不作法な印象を生んでしまう現象は、ビジネスコミュニケーションにおいて最も避けるべき落とし穴です。