歴史を紐解くと、この地と切っても切れない関係にあるのが唐の時代に由来する魔除けの神様「鍾馗」だ。中国の伝説に登場する鍾馗は、強烈な異彩を放つ容貌で悪鬼を退治する存在として知られる。平安時代に遠く海を越えて日本へと伝わり、武家社会から庶民の間へと広まっていった。
無実の罪で京を追われ、この地で没した菅原道真。その強い念と疫病退散の祈りが重なる太宰府天満宮の周辺では、人々の生活に鍾馗信仰が深く根を下ろしてきた。家の軒先に飾られた鍾馗像や版画は、災厄を払い、家内安全を願う人々の切実な祈りの形そのものなのだ。