もし目の前で家族が餅を喉に詰まらせた場合、窒息から心停止に至るまでの時間はわずか数分です。「声が出せない」「窒息のサイン(喉を両手で押さえるチョークサイン)」が見られたら、迷わず即座に行動する必要があります。
【緊急時の救命アクション手順】
- 大声で助けを呼び、119番通報を指示:周囲に人がいれば救急車の要請とAEDの手配を頼み、自分は直ちに応急処置を開始する。
- 咳をさせられる場合は強く咳を促す:自力で声が出る、咳ができる状態であれば、前傾姿勢をとらせて強く咳をさせる。
- 声が出ない場合は「背部叩打法(はいぶこうだほう)」を行う:
- 患者の後ろに回り、片手で胸を支えながら前傾姿勢にさせる。
- もう一方の手のひらの基部(手首に近い固い部分)で、左右の肩甲骨の間を力強く連続して叩く。
- 意識がある成人には「腹部突き上げ法(ハイムリック法)」も検討:
- 患者の背後から両腕を回し、みぞおちの下あたりで握り拳を作り、斜め上方へ素早く引き上げる。(※内臓を痛める可能性があるため、妊婦や乳幼児には実施不可。実施後は救急隊に伝える)。
- 意識を失ったら直ちに心肺蘇生(CPR)を開始:胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始し、救急隊の到着を待つ。
ここで強く警戒すべきなのが、「掃除機で餅を吸い出す」という俗説です。ネット上で見かける対処法ですが、専門機関や日本救急医学会は原則として推奨していません。
家庭用掃除機のノズルは口の奥にフィットせず、口腔内や舌を激しく傷つける危険があります。さらに、異物をさらに奥へと押し込んでしまったり、吸引器を探してセットする間に貴重な救命時間を失う「タイムロス」が発生します。掃除機を探す暇があるなら、一秒でも早く背部叩打法を行い、救急車を呼ぶことが鉄則です。