ベーコンの哲学は、単なる書斎の概念論にとどまらなかった。彼の思想はイギリス経験論の起点となり、その後の科学革命を決定づける強力なエンジンとなった。
人間の知性は誤りやすいため、実験と実証を繰り返さなければならない――この極めて実用的かつ謙虚な態度が、17世紀半ばの英国で実を結ぶ。彼の遺志を継ぐ形で設立されたのが、世界最古の科学学会である王立協会だ。「言葉ではなく実験によって」をモットーとする同協会は、ニュートンをはじめとする多大な科学者たちを輩出し、近代世界の骨組みを作り上げた。
ビジネスの現場でも同じことが言える。デスクの上で完璧なロジックを捏ね繰り回すより、小さな実験を素早く繰り返し、事実によって仮説を検証する。このアプローチこそが、経験論の現代的実践なのだ。