大正ロマンの風潮が花開いた20世紀初頭、日本の表現世界に地殻変動が起きた。伝統的な日本画の枠組みに縛られず、西洋のモダンアートの息吹を融合させた画風は、当時の美術・出版業界に強烈なインパクトを与えたのだ。
彼の手がける美人画は、単なる容姿の美しさではなく、女性の繊細な心理の揺らぎを捉えていた。どこか影を帯びた瞳、揺れる着物の裾、物憂げな立ち姿。それらは当時の若者たちの心を掴み、熱狂的な流行を生み出した。さらに、書籍の装丁や楽譜の表紙、手ぬぐいや絵はがきに至る商業グラフィックデザインの分野でも類稀な才能を発揮。アートを特権階級のものから民衆の生活へと開放した功績は計り知れない。