透析治療といえば、病院のベッドに拘束される姿ばかりが想起されがちだが、現在のアプローチは極めて多角的だ。日本腎臓学会の診療ガイドラインでも推奨されている「腎代替療法(SDM: 共同意思決定)」の普及により、患者は自身のライフスタイルや価値観に合わせて治療法を選択できるようになっている。
代表的な選択肢が、自宅や職場で行える腹膜透析(PD)だ。腹膜透析はお腹に入れたカテーテルを介して老廃物を除去する仕組みで、就寝中に自動で透析を行うAPD機器を用いれば、日中は通院の拘束なしに自由な活動が可能になる。一般的な血液透析(HD)と比べて残存腎機能を長く保持しやすいという利点もあり、腎臓内科学の専門医も生活リズムを崩したくない現役世代への有力な選択肢として推奨している。さらに、親族からの生体腎移植や献腎移植といった根治療法へのアクセスも着実に改善されている。