嵐のメンバーそれぞれが、異なる文芸ジャンルで強烈な足跡を残してきた点も見逃せない。
松本潤は、行定勲監督が映画化した『ナラタージュ』(島本理生原作)で、決して許されない恋に溺れる高校教師・葉山貴司を静謐に演じ切った。それまでの華やかなスター像を封印し、人間の弱さやずるさを繊細にすくい取った演技は、文芸映画の新たな地平を切り拓いたと評された。
一方、大野智が主演を務めた貴志祐介原作の『鍵のかかった部屋』は、密室トリックの解明に特化した異色の本格ミステリー。防犯オタクの榎本径という無機質で謎めいたキャラクターは、大野の持つ独特の浮遊感と見事にシンクロし、密室破りの快感を極上のエンターテインメントへと仕立て上げた。
そして相葉雅紀は、和田竜の歴史小説『忍びの国』における大野の圧倒的なアクションとは対照的に、赤川次郎原作の『三毛猫ホームズの推理』や、医療現場の生と死を描いた『ラストホープ』などで、人の温もりと弱さに寄り添う等身大の主人公を好演。五人それぞれが持つ異なる作家性が、多彩な小説世界を実写化の舞台へと呼び込んできたのである。