長男役を演じた柳楽優弥の存在は、映画に類稀なリアリズムを与えた。当時演技未経験だった14歳の少年は、オーディションで是枝監督に「目に強い意志と哀愁が同居している」と見出された。台本を事前に渡さず、撮影現場で状況を口頭で伝えて自然な反応を引き出す手法により、柳楽は虚飾のない生々しい表情をカメラの前で発露させた。
第57回カンヌ国際映画祭において、柳楽優弥は当時14歳という史上最年少記録で最優秀男優賞を受賞した。審査員長を務めたクエンティン・タランティーノをはじめとする世界の映画人たちが、その圧倒的な眼差しを絶賛した。この快挙は、児童虐待やネグレクトという深刻な社会課題を、世界基準のアートピースとして国際社会に知らしめる契機となった。