問題のボディースーツは、単なる悪ふざけで作られたものではなかった。照明の光量やカメラのレンズ特性、当時のアナログテレビ放送および地上デジタル放送初期の画質に至るまで、緻密に計算し尽くされていたという説がある。肉眼で近くで見れば明らかに生地だとわかる仕上がりだったが、テレビ画面を通すと光の反射によって本物の皮膚と見分けがつかなくなる仕様だったのだ。
「テレビを見る側を騙す」という視覚的トリック。それは、視覚表現の限界に挑むアーティストの企てだったのか、それとも視聴者と放送局に対する皮肉だったのか。本番後、出演者は「裸ではなく衣装を着ていた」と主張した。だが、公共放送が求める「お茶の間に安心を届ける」という大前提との乖離はあまりにも大きかった。結果として、この「全裸風スーツ」は日本のテレビ史における最大のタブーとして語り継がれることになった。