この歴史的な芸能スキャンダルにおいて、決して忘れてはならないのが、娘を心から愛し、命がけで護ろうとした父・梅宮辰夫の存在である。昭和の銀幕を彩ったスター俳優は、娘の交際に対してカメラの前で公然と「稀代の悪党」「絶対に許さない」と怒りを露わにし続けた。
一見すると頑固な父親の独善的な反対に見えたその叫びは、実は娘の将来を案ずる父親としての痛切な悲鳴だった。裏社会の影や借金問題の危険性を本能的に見抜いていた彼は、自らのタレント生命や世間体を省みず、悪役を買って出てでも娘を連れ戻そうと苦闘したのである。
晩年まで娘の幸せを願い続けた父親の姿は、月日が流れた現代においても多くの人々の胸を打つ。娘が過ちから目を覚まし、自立した女性として歩み出すきっかけを作ったのは、間違いなくこの頑ななまでの親心であった。