昭和芸能史に刻まれた二人の出会いは、1956年公開の東映映画『恐怖の空中握手』での共演がすべての始まりでした。当時、江利チエミさんは14歳で発表した「テネシーワルツ」の大ヒットを経て、美空ひばりさん、雪村いづみさんと並ぶ「三人娘」としてすでに国民的スターの座に君臨していました。
対する高倉健さんは、東映ニューフェイス第2期生としてデビューしたばかりの駆け出しの新人俳優でした。映画関係者の証言によると、撮影現場でのチエミさんは現場の雰囲気を一瞬で明るくする太陽のような存在であり、健さんはその無邪気で芯の通った人柄に瞬く間に心を奪われたと伝えられています。
物静かで不器用と評されていた健さんでしたが、チエミさんに対しては情熱的なアプローチを重ねました。撮影現場への送迎や、彼女の好物を密かに差し入れるなど、誠実かつ一途なアタックを敢行。チエミさんもまた、健さんの飾り気のない男らしさと温かい優しさに惹かれ、交際へと発展していきました。
そして3年間の交際期間を経た1959年2月16日、高倉健さんの28歳の誕生日に二人は結婚式を挙げました。人気絶頂の歌姫と将来を嘱望される若手俳優の結婚は、メディアで「世紀のビッグカップル誕生」と大々的に報じられ、日本中から熱烈な祝福を受けました。