頭山満という人物の真価は、海外の亡命活動家たちに対する破格の支援に見ることができる。清朝倒幕を目指す中国の革命家・孫文が日本へ亡命した際、日本政府の目を盗んで身元を保証し、庇護し続けたのは頭山その人であった。辛亥革命の成功の陰には、頭山一族および玄洋社ネットワークによる物心両面にわたる凄まじいバックアップが存在した。
また、英国当局から追われていたインド独立運動の指導者ラス・ビハライ・ボースの潜伏・逃亡劇においても、頭山の果たした役割は決定図的だった。頭山は中村屋の相馬愛蔵・黒光夫妻らを巻き込み、ボースをかくまった。この縁がのちに「中村屋のインドカリー」誕生へと繋がる歴史の奇妙な巡り合わせは有名だが、頭山家が示した国境を超えた義侠心は、今なおアジア各国で語り継がれる伝説となっている。