認知症は、ある日突然すべてを忘れてしまう病気ではありません。正常な状態と、サポートが必要な状態の間を行ったり来たりする「グラデーションの期間」が長く続きます。この期間こそ、家族にとって最も葛藤が多い時期です。
「どこまで本人に任せていいのか」「いつ運転免許を返納させるべきか」。進行速度が緩やかになった分、このグレーゾーンの決断を迫られる期間も長くなります。専門家は、本人の意思決定能力が残っているうちに、将来の医療やケアの希望を話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の重要性を強調しています。