ナポリタン味の悲劇を紐解くには、まず2012年から始まった「ガリガリ君リッチ」の狂騒劇を振り返る必要があります。発端は2012年9月に発売されたガリガリ君リッチ コーンポタージュ味でした。「アイスにコーンポタージュ?」と発売前は誰もが疑ったものの、発売直後から空前の大ヒットを記録。あまりの売れ行きにわずか3日で販売休止へ追い込まれる社会現象を巻き起こしました。
味を占めた赤城乳業は、翌2013年10月に第2弾となるガリガリ君リッチ クレアおばさんのシチュー味を投入します。これも見事にヒットを飛ばし、社内には「食事系アイスなら何を出しても売れる」「攻めの姿勢こそが赤城乳業の真骨頂だ」という強烈な熱狂と油断が生まれました。こうして企画されたのが、衝撃三部作の完結編と位置づけられたナポリタン味でした。
開発チームは「ナポリタンの味をアイスで忠実に再現する」という狂気じみた情熱を注ぎ込み、ナポリタン風味のかき氷の中にトマトゼリーを散りばめる本格的な構造を採用しました。当時の社内試食会でも「これは本物のナポリタンだ」と絶賛の声が上がったものの、肝心の「アイスとして本当においしいのか?毎日食べたいか?」という最も根本的な問いが、前2作の成功体験によって完全に吹き飛んでいたのです。