東京・渋谷のシネコンをはじめ、台北、香港、ソウルなどの主要都市の映画館では、2026年に入り『あの頃、君を追いかけた』の15周年記念4Kリマスター版が特別上映されている。連日満席が続く場内を見渡すと、リアルタイムで劇場に通った30代〜40代の往年のファンだけでなく、制服姿の高校生や大学生の姿が目立つ。
スマホ画面の倍速視聴に慣れ親しんだ新世代にとって、1990年代後半の台湾・彰化(ジャンファ)を舞台に描かれる不便で青くさい日常は、新鮮なショックとなって胸に突き刺さる。固定電話でしか連絡が取れない焦燥感、雨のなか自転車を立ち漕ぎする体温、教室内で回される手書きのノート。デジタルテクノロジーで即座に繋がれる現代だからこそ、距離感と時間に焦がれる彼らの姿が、圧倒的なエモさとなってスクリーンから溢れ出している。