数ある仇討ちの中でも、後世の文学や芸能に絶大な影響を与え、国民的な記憶として定着した事件が「日本三大仇討ち」です。
1つ目は、鎌倉時代初期の1193年に起きた「曾我兄弟の仇討ち」です。曾我十郎・五郎の兄弟が、父の仇である工藤祐経を源頼朝の富士の巻狩りの夜に討ち果たした事件で、武士の鑑として長く語り継がれました。
2つ目は、江戸時代前期の1634年に伊賀国で発生した「鍵屋の辻の決闘」です。渡辺数馬が義兄である剣豪・荒木又右衛門の助勢を得て、弟を殺害した河合又五郎を討った事件で、助太刀の壮絶な戦いぶりが講談などで爆発的な人気を博しました。
3つ目が、1702年に赤穂浪士47名が吉良上野介の屋敷に討ち入った「赤穂事件(忠臣蔵)」です。主君・浅野内匠頭の無念を晴らした義挙として庶民から熱狂的な支持を集めた一方、幕府側は「無許可の徒党による私闘」と判断し、切腹を命じるという法と倫理の葛藤を浮き彫りにしました。