時計の針を120年以上巻き戻そう。自転車レースの全米王者であったジョージ・M・ヘンディと、天才エンジニアのオスカー・ヘドストロムがマサチューセッツ州スプリングフィールドで手を組んだ瞬間、アメリカにおける二輪自動車産業の歴史が幕を開けた。彼らが創り上げたインディアンモーターサイクルは、ミルウォーキーの競合が産声をあげる2年も前に、量産型Vツインエンジンを世に送り出していたのだ。
第一次世界大戦時には生産能力のほぼすべてを米軍に捧げ、サイドカー付きモデルが戦場を疾走した。その類まれな耐久性と剛性は、過酷な軍務によって鍛え上げられたものだ。しかし、戦後の経営混乱や資本の迷走により、一度はその栄光の歴史にピリオドを打つこととなる。幾度もの倒産と復活劇を繰り返しながらも、その魂が消え去ることは決してなかった。