ネットカルチャーの中心地であったなんでも実況J(なんJ)では、彼の取組があるたびに秒単位で書き込みが殺到した。最初は技術や体格の未熟さを揶揄する声も少なくなかったが、次第に空気は変化していった。どれほど無様に負けても、休場することなく愚直に土俵へ上がり続ける姿が、ある種のインターネット・ミームへと昇華していったのだ。
「今日こそ初白星を挙げるのではないか」「何連敗まで伸びるのか」。冷やかしと純粋な応援が入り混じった独特の空気感。勝ち組ばかりが称賛される現代社会において、負け続けても逃げ出さない服部桜の存在は、画面の前のファンにとって奇妙な救いであり、共感の対象でもあった。