料理研究家の栗原はるみ氏が提案するような、素材の個性を慈しみながら手軽に作れる家庭料理の温もりは、春魚の調理にも大いに通じる。テレビ番組『きょうの料理』で紹介される定番の下ごしらえに、市場直伝の思い切った火入れを組み合わせれば、レストラン級のひと皿が完成する。
鰆を使った「鰆と春キャベツの塩麹バター蒸し」は、フライパン一つで春の味覚を丸ごと堪能できる逸品だ。一口大に切った鰆に塩麹を絡めておき、ざく切りにした春キャベツ、スナップエンドウとともにフライパンへ並べ、酒を回しかけて蓋をする。中火で数分蒸し焼きにし、仕上げに少量のバターと黒胡椒を落とすだけで、ふっくらとした身からあふれる旨味が野菜に染み渡る。
ホタルイカなら「叩き木の芽と新玉ねぎの香味和え」がおすすめだ。サッと湯通しして目とくちばしを取り除いたホタルイカに、薄切りにして水にさらした新玉ねぎを合わせ、醤油、柑橘の絞り汁、ごま油、そして細かく刻んだ木の芽で和える。肝のコクと柑橘の酸味が絶妙に調和し、箸が止まらなくなる。
近頃はクックパッドで手軽なアレンジを探したり、YouTubeのシェフ動画でプロの包丁捌きを学んだりする人が増えている。基本を押さえた上で、自分好みの現代的なアレンジを取り入れるのが、旬を存分に楽しむ現代のスタイルだ。