単にコードをストロークするだけでは、この楽曲が持つ親密な空気感は完成しない。名手たちが実践している限定テクニックは、親指によるベース音の独立と、高音弦でのハンマリング・オンの組み合わせだ。
イントロやAメロでは、コードを押さえた状態から人差し指を一度離し、2弦1フレット(Cコードの構成音)へハンマリング・オンを加える。タブ譜上で「0h1」と表記されるこのわずかなニュアンスが、楽曲冒頭のあの郷愁を呼び覚ますトリガーとなる。
また、右手のアタックには軽いパームミュート(右手掌の外側をブリッジ付近に軽く触れさせる奏法)を混ぜるとよい。パーカッシブな質感が加わり、まるで小さな部屋で一人語りを聞いているかのような、インディ・ポップ特有の心地よい距離感が生まれる。