栄光の陰で、米良の身体は度重なる試練に苛まれてきた。生まれつき骨が折れやすい難病「先天性骨形成不全症」を抱えながら少年時代を過ごし、音楽への情熱だけを頼りに階段を駆け上がってきた経緯がある。
だが、試練はそれだけでは終わらなかった。2014年末、クモ膜下出血を発症して緊急搬送。一時は生命の危機に瀕し、緊急手術を経て長期の療養を余儀なくされた。言葉を発することすら覚束ない状態から始まった過酷なリハビリテーション。歌手にとって命とも言える発声器官や肺活量の低下は、絶望の淵に突き落とされるに十分な打撃だった。
それでも彼は諦めなかった。理学療法士とともに地道な身体機能の回復に励み、わずかな息の漏れから声を拾い直すリハビリを重ねた。死の淵を覗き見た経験は、やがて彼の音楽観を根底から変える。「生きていること、歌えること自体が奇跡」。その実感こそが、復活への強い原動力となった。