2026年現在も、「ひな祭りの音楽」といえば圧倒的な知名度を誇るのが「うれしいひなまつり」です。各種音楽配信サービスや教育系アンケートにおけるひな祭り定番曲ランキングを見ても、不動のトップに君臨し続けています。
近年では、『ひなまつりルンバ』や童謡メドレー、さらには人気アニメの春ソングなども園や家庭で流れるようになりましたが、世代間の共通言語として「うれしいひなまつり」の地位を揺るがす楽曲は他にありません。
一方で、この曲は昭和から令和に至るまで、子どもたちの間で無数の「替え歌」が生み出されてきた特異な童謡でもあります。「あかりをつけましょ 爆弾に」「お花をあげましょ 毒の花」といったブラックユーモアあふれる替え歌は、日本全国の小学校や幼稚園で地域を問わず自然発生的に受け継がれてきました。
民俗学や児童心理学の観点では、格式高く少し緊張感のある伝統行事に対し、子どもたちが無意識にユーモアを交えてパロディ化することで、行事を身近に引き寄せる言語遊戯の一種として分析されています。替え歌のバリエーションが無数に存在すること自体が、この曲がいかに日常に溶け込んでいるかの証左といえるでしょう。