なぜ、このロケットがこれほど警戒されるのか。答えはシンプルだ。従来の中型機「長征7号」に、第3段として液化酸素・液化水素エンジンを組み込んだ「A型」の設計変更が、劇的なパフォーマンス向上をもたらしたからである。
全長60メートルを超える巨躯。打ち上げ時の離陸推力は720トンに達する。特に静止遷移軌道(GTO)への投入能力が7トンクラスへと引き上げられた意味は大きい。これにより、次世代の高容量通信衛星(HTS)や、気象・海洋の常時観測を行う巨大光学衛星を単一のロケットで余裕を持って打ち上げられるようになった。打ち上げコストの削減と高い軌道投入精度を両立させたことで、欧州のアリアン6やアメリカのVulcan Centaurといった新世代ロケットとの直接競合が、2026年の今、現実のものとなっている。