彼のキャリアを語る上で欠かすことのできない金字塔が、朝日放送テレビ制作・テレビ朝日系列にて長年放送された『新婚さんいらっしゃい!』である。半世紀以上にわたってMCを務め、同一人物による長寿トーク番組としてギネス世界記録にも認定されたこの番組の舞台裏には、視聴者の想像を超える緻密な計算と即興のドラマが存在していた。
象徴的だった「椅子から転げ落ちる」アクション一つをとっても、素人の出場者が最も引き立つ間(ま)と空気感を完璧に測った上で繰り出されていたという。「素人さんの素顔と魅力を最大限に引き出すことこそが自分の役割だった」。当時の制作スタッフは、カメラが回っていない時間にも出場者の緊張をほぐすべく、気さくに声をかけ続けていた彼の心配りを述懐する。お茶の間を魅了したバラエティの極意は、そのまま彼の高座における観客との対話力へと昇華されている。