山くらげの歴史は古い。清の全盛期を築いた乾隆帝の時代、宮廷料理として献上されていたという記録が残っている。皇帝その人がその食感を大いに気に入り、「貢菜(ゴンツァイ)」つまり献上品としての名を与えたとも伝えられる。ひとつの茎レタスが高貴な宮廷料理へと昇華したエピソードは、実に興味深い。
辻調理師専門学校の辻芳樹校長をはじめとする食文化の権威たちも、アジアにおける食材加工の知恵として山くらげの歴史的価値に注目してきた。単なる保存食にとどまらず、乾燥・復元によって独特のテクスチャーを生み出す発想は、中華料理の深遠さを物語る象徴的な事例と言えるだろう。