温厚な果実食とはいえ、野生動物である以上、完全にノーリスクというわけではありません。人間側が不用意に接触を試みた場合には、相応の危険が生じます。
まず、金冠オオコウモリの爪や顎の力は強力です。硬い果物の皮を引き裂き、木の枝に逆さまにぶら下がり続ける強靭な筋力を持っているため、人間が無理に捕獲しようとして噛まれたり引っかかれたりすれば、皮膚を深く裂かれる重傷を負います。
さらに警戒すべきは人獣共通感染症(ズーノーシス)のリスクです。オオコウモリ類は狂犬病ウイルスをはじめ、ヘンドラウイルスやニパウイルスなど、人間に致死的な影響を及ぼす病原体を体内に保持している可能性があります。
フィリピンの観光地(スービックなど)ではコウモリ観察ツアーが人気を集めていますが、現地当局および森林保護区では「絶対に素手で触れない」「弱って地面に落ちている個体にも近づかない」という厳格なガイドラインが敷かれています。遠くからその雄大な飛行を観察する分には極めて安全な生き物です。