撤去から9年が経った2026年現在、平和教育の現場では新たな課題に直面している。
現在の展示は、遺品や写真、そして被爆者の証言映像を中心とした静かで厳かな空間へと生まれ変わった。これにより、かつてのような「恐怖で展示室をまともに歩けない」といった事態は減り、より深く個々の遺品に向き合えるようになったという評価は多い。
その一方で、SNS上や教育現場からは「今の資料館は綺麗にまとまりすぎているのではないか」という疑問も呈されている。かつての初代人形が放っていた、理屈抜きで脳裏に突き刺さる「恐怖」という感情の揺さぶりが、戦争を知らない若い世代にとって実は必要なプロセスだったのではないか、という指摘だ。恐怖を避けるべき「トラウマ」とするか、惨禍を防ぐための「必要な警告」とするか、その境界線はいまだ曖昧なままである。