ハリネズミという生き物は、長きにわたり人々の創作意欲を刺激してきた。古くは英国の絵本作家ベアトリクス・ポターが描いた心優しい洗濯屋のティギー・ウィンクル夫人に始まり、世界的な大ヒットを記録した『ソニック・ザ・ムービー』の疾走感あふれる主人公に至るまで、彼らは常に愛嬌あるキャラクターとして描かれている。さらにNetflixの配信プログラムやNHKの『ダーウィンが来た』といった自然・動物ドキュメンタリーが野生下のユニークな生態を紹介したことで、愛玩動物としての認知度は一気に跳ね上がった。
しかし、メディアが描き出す魅力的なフィクションと、現実の飼育現場には大きな隔たりがある。日本国内で一般的に流通しているのは、アフリカ原産の「ヨツユビハリネズミ」だ。夜行性で臆病、単独行動を好む彼らにとって、人間の住環境は本来、ストレスに満ちた異世界にほかならない。とりわけ生まれたばかりの幼体にとって、人間側の些細な無知は致命傷となる。