昭和の高度経済成長期、レトロな喫茶店文化の中でホットケーキは確固たる地位を確立した。銅板でじっくりと焼き上げられ、表面はサクッと香ばしく、中は密度の高い生地。その頂上に四角いバターが溶け出し、シロップが滴る光景は、昭和の純喫茶における象徴的なスイーツであった。
しかし2000年代以降、海外発のパンケーキ専門店が上陸すると外食産業の風景は一変する。メレンゲを贅沢に使ったふわふわのシュフレ系パンケーキや、フレッシュなフルーツとホイップクリームが山盛りになったハワイアンスタイルがブームを巻き起こした。外食産業ではトレンド感のある「パンケーキ」、家庭や伝統的な純喫茶ではノスタルジックな「ホットケーキ」という使い分けが定着していった。