血液型という生物学的な分類が、いかにして性格診断へと結びついたのか。その源流は20世紀初頭に遡る。1900年、オーストリアの医学者カール・ランドシュタイナーがABO式血液型を発見した。この偉大な発見は輸血医学を劇的に進歩させ、後にノーベル生理学・医学賞の授与へとつながった。しかし、この段階では性格との関連性は一切示されていなかった。
日本において血液型と気質の関連が議論され始めたのは1920年代後半のことだ。教育心理学者の古川竹二が発表した論文が、日本における血液型性格研究の先駆けとなった。当時、古川の研究は学術的検証の甘さから一度は立ち消えとなったものの、そのアイデアは人々の記憶に静かに残り続けた。
この説が爆発的なブームとして社会現象化したのは1970年代に入ってからである。放送作家の能見正比古が独自のアンケート調査をもとに多数の著作を執筆。軽妙な語り口と具体的な日常あるあるを交えた分析が読者の心を掴み、メディアを通じて日本全国へ拡散した。能見の功績により、血液型は単なる血液の型から、人間関係を滑らかにするコミュニケーションの潤滑油へと昇華したのである。