東急田園都市線の青葉台駅、あるいは小田急線の柿生駅からバスに揺られること十数分。車窓の風景は突如として一変する。コンクリートの街並みが影を潜め、なだらかな丘陵地に囲まれた深い緑が視界を埋め尽くす。
「ここが本当に横浜なのか」
初めて訪れた者の誰もが口を揃えてそう漏らす。寺家地区の特徴は、関東平野特有の地形である「谷戸(やと)」が完璧な形で残されている点だ。丘陵に刻まれた谷状の低地に田んぼが作られ、斜面には雑木林が茂る。この自然のグラデーションが、多様な生物を育む最高の環境作り出している。車道から一歩足を踏み入れるだけで、現代社会の雑音は嘘のように消え去る。