真鍋昌平氏の漫画『闇金ウシジマくん』が描いた底辺社会の泥沼は、フィクションの枠を超えた真理を突きつけている。作中のキャラクターたちが陥る悲劇の多くは、見栄や誇大妄想、そして目先の逃避から始まっている。この描写は、行動経済学が解明してきた「現在偏向バイアス(将来の大きな利益より目の前の小さな利益を優先する心理)」そのものだ。
また、社会心理学の視点からは「社会的比較理論」による悪影響が指摘される。自分より下の存在を探して安心感を得ようとする比較の癖は、一瞬の自己肯定感をもたらすものの、根本的な解決には至らない。自己欺瞞を重ねるほどに問題は深刻化し、気がついた時には抜け出せない債務や孤立の泥沼にはまり込んでしまうのだ。