広島市中区新天地の喧騒の中、ひときわ目を引く赤と白の暖簾。屋号である「へんくつや(偏屈屋)」の由来は、創業者が「妥協を一切許さず、自分が納得のいくお好み焼きしか出さない」という強烈な職人魂を持っていたことから、周囲に「あの親父は本当にへんくつ(偏屈)だ」と言われたことに端を発しています。この頑固なまでの味へのこだわりこそが、現代まで受け継がれるブランドの根幹です。
広島お好み焼きの多くは「オタフクソース」の甘口をベースに仕上げる店が主流ですが、へんくつやでは創業以来、独自ブレンドの特製ソースを採用しています。野菜と果実の自然な甘みを引き出しつつ、後味にキリッとしたスパイス感と酸味を残す設計になっており、濃厚でありながら最後の一口まで重さを感じさせません。
さらに特筆すべきは「麺の焼き上げ技術」です。毎朝仕入れる特製の中細中華麺を一度熱湯でさっと茹で上げ、水分を含んだ状態で高温の鉄板に投入。表面をヘラで押し付けすぎず、豚肉から溶け出した脂を麺に纏わせながら、外側はカリッと香ばしく、内側はもっちりとした絶妙なコントラストに仕上げます。キャベツの水分を蒸らし焼きでじっくり引き出す生地と、このクリスピーな麺の食感の対比が、へんくつや最大のアイデンティティとなっています。