数々の夢を届けてきた一方で、番組史には専門家コミュニティや学術界を巻き込んだ波乱の事件も刻まれています。その筆頭が、2016年12月20日の放送回で起きた「曜変天目茶碗騒動」です。
番組内では、中国・南宋時代に作られ現存するものは世界に3点(すべて日本の国宝)しかないとされる「曜変天目茶碗」の4点目であるとされ、古美術鑑定の第一人者である中島誠之助氏によって2,500万円の評価額が下されました。当時、スタジオは「歴史的大発見」として熱狂に包まれました。
しかし放送直後から陶芸研究家や東洋陶磁の専門家から強い疑問の声が噴出。その後、中国・福建省の陶芸作家である李欣顔氏が「自らが十数年前に作成し、数百元(数千円程度)で販売した現代の模倣品である」と名乗り出たことや、奈良先端科学技術大学院大学などのX線蛍光分析による釉薬成分の科学調査によって、化学顔料が検出されるなど学術的な追試が進められました。現在では、研究者の間において「現代のレプリカ(工芸土産品)であった」という見解が定説として定着しています。
この事件は、長年の勘や経験則に頼る従来の骨董品評価と、現代の科学的・客観的成分分析との間に存在するギャップを象徴する出来事として、古美術界に大きな教訓を残しました。