夜間走行中に対向車から浴びせられるパッシングには、大きく分けて「道を譲る合図」「前方の警察取締りや異変の警告」、そして「ライトが眩しすぎるためロービームに切り替えるか消灯してほしいという抗議」の3パターンが存在します。中でも近年、圧倒的に増加しているのが眩しさに対する怒りのパッシングです。
JAF(日本自動車連盟)が実施したアンケート調査によると、夜間運転中に「対向車のライトが眩しい」と感じた経験があるドライバーは全体の84.2%に達しています。対向車の運転席から見れば、直撃する強烈な光によって一時的に前方が見えなくなる「蒸発現象」や視力低下が引き起こされ、生命の危険を感じる瞬間となります。相手ドライバーは自己防衛として「ライト消して!」という怒りをパッシングに込めて伝えているのが実態です。
対向車からパッシングを受ける主な原因は以下の3点に集約されます。
1. ハイビームの消し忘れ・切り替え遅れ
街灯の少ない郊外道路から市街地に入った際、手動ハイビームを戻し忘れていたり、オートハイビーム(AHB)のセンサー反応が対向車の検知に遅れたりすることで、対向車の眼前に直接ハイビームを照射してしまうケースです。
2. 高輝度LEDと光軸(エーミング)のズレ
現在の主流であるプロジェクター式LEDヘッドライトは、カットオフライン(配光の境目)が明瞭である反面、乗車人数や荷物の積載によって車両後部が沈むと、ロービームであっても対向車のドライバーの目線直撃角度まで光軸が跳ね上がります。
3. 車高差(SUV・ミニバン vs 軽自動車・セダン)による構造的照射
近年のSUV・トールワゴン人気により、アイポイントの高い車両が増加しました。車高の低いセダンやスポーツカー、軽自動車のドライバーにとっては、対向車のロービームが物理的にルームミラーやフロントガラス越しに直撃しやすくなっています。