コーヒーをこぼした直後は水で洗い流せば落ちるように思えますが、時間の経過とともに茶色い輪ジミとして強固に残ってしまいます。コーヒー染みが落ちない理由の根本は、コーヒー豆に含まれる「タンニン」や「クロロゲン酸」と呼ばれるポリフェノール類の色素成分にあります。これらは植物性の水溶性色素ですが、空気に触れて酸化が進むと繊維の分子構造と強固に結合し、通常の洗濯洗剤と水洗いだけでは分解できない不溶性の物質へと変質してしまいます。
さらに見落とされがちなのが、カフェラテとブラックコーヒーの落とし方の違いです。ブラックコーヒーは純粋な水溶性の色素汚れであるため、色素の分解に集中すれば落とせます。一方でカフェラテやカプチーノは、牛乳由来の「乳脂肪分(油分)」と「カゼイン(タンパク質)」が豊富に含まれています。
ミルク入りの場合、乳脂肪が繊維の表面に薄い油膜を張り、その奥に色素を閉じ込めてしまいます。この油膜を界面活性剤で溶かさない限り、いくら強力な漂白剤をかけても色素に届きません。また、タンパク質は60℃以上の高温で熱凝固を起こし、繊維に焼き付いて二度と落ちなくなるリスクがあります。ブラックかラテかを見極めることが、染み抜き成功の第1関門です。