大手美容室グループのトップスタイリストや毛髪診断士への取材において、多くの現場技術者が口を揃えるのが「トリートメントの過剰塗布と長すぎる放置時間によるトラブル」です。
都内有名サロンのディレクターは、サロンワークでの観察から次のように証言します。
「『毎日15分以上トリートメントを置いてラップを巻いているのに、髪が重たくベタついて乾かない』と駆け込んでくるお客様が少なくありません。これは毛髪科学で言うビルドアップ(皮膜成分の過剰蓄積)現象です。良かれと思って過剰に塗り重ねた油分が髪に吸着しすぎ、かえってドライヤー熱が通りにくくなり、熱変性を加速させてしまうケースが見受けられます」
検証データによると、一般的なインバストリートメントにおけるトリートメントの正しい放置時間は「3〜5分」がベストとされています。分子量の小さいアミノ酸やペプチド成分は塗布後数分で毛髪内部へ行き渡るよう設計されており、10分以上放置しても浸透量に有意な差は出ないとされています。むしろ、頭皮に成分が付着したまま長時間放置されることで、毛穴の閉塞や痒みといった頭皮環境悪化のリスクが高まります。
また、「毎日使うべきかの真相」については、現在のダメージ度合によって異なります。日常的にアイロンやカラーを行っている髪であれば毎日のトリートメント使用が推奨されますが、健康な髪や細い軟毛の場合は、毎日のトリートメントによって髪がペタンと潰れてしまうことがあります。そうした髪質では「2〜3日に1回のトリートメント+毎日の軽やかなコンディショナー」というローテーションが最も理想的なボリュームと質感を保てます。