広末涼子の名を一気に全国区へと押し上げた決定打といえば、1996年に放送されたNTTドコモのポケベルCMだ。「広末涼子、ポケベルはじめる」というシンプルなキャッチコピーとともに、画面いっぱいに映し出された無防備な笑顔と瑞々しい躍動感。当時まだ高校生になりたてだった彼女の飾らない姿は、デジタルコミュニケーションの黎明期にいた若者たちの胸を激しく撃ち抜いた。
続く1996年から1997年にかけてリリースされたファースト写真集『H』や『No Make』は、アイドル写真集の歴史を塗り替えるメガヒットを記録する。水着で過剰に媚びる既存のスタイルを拒ぎ、高知から上京してきたばかりの少女の日常、すっぴんに近い素顔、部活帰りのような汗や制服姿をドキュメンタリータッチで切り取った構成は画期的だった。後年の回想録でも明かされている通り、分刻みの殺人的スケジュールに追われながらもカメラの前で見せたあの圧倒的な眼差しの強さは、作られた虚像ではなく、少女が自らの生命力をそのままぶつけた奇跡の記録だったと言える。