歯は骨の中に直接固着しているわけではない。歯と歯槽骨の間には「歯根膜」というわずか0.2ミリほどの極めて繊細なクッション組織が存在する。歯科医師による正規の矯正治療では、この歯根膜の血流を阻害しないよう、数十グラム単位の極めて微弱で持続的な力を計算し尽くして加えている。
対して、輪ゴムや指による強い力は、歯根膜への血流を一瞬で遮断する。その結果引き起こされるのが、歯の根元が自ら溶けて短くなる「歯根吸収」だ。一度短くなった歯根は二度と元の長さに戻らない。さらに、周囲の骨が急速に吸収されて歯がグラグラになり、最終的には不正咬合を悪化させるだけでなく、20代や30代であっても自然脱落の危機に直面することになる。